第七夜
第八六話

題名
廃墟の魔物

投稿者
モリス様



モリスの友達のお話です
俺は廃墟が大好きで、暇を見つけては探索しに行くんだ。
連休で廃墟に泊まってみようということで、キャンプ用品とか酒とか用意して廃病院まで行った。
着いたのは昼の三時くらいで、陽もまだ高かった。暫く病院を散策していると子供の笑い声と共に、何かを壊すような音が聴こえた。
近所の悪餓鬼共が廃墟であるのをいいことに暴れ回っていると俺は判断した。廃墟が壊れるのは時の経過による風化だけではなく、子供やチンピラが暴れることにも起因するんだなと俺はしみじみと思った。
俺は餓鬼共の騒ぎ声から遠ざかって、病室の一つに入ると酒盛りを始めた。陽が落ちた頃には餓鬼共も帰って、俺はランタン片手に廃墟をくまなく歩き回った。
数時間歩いて腹が減った俺は先程の病室に帰って、コンビニの握り飯を食べて、焼酎をかっくらって、酔いで眠くなって寝袋で寝た。
夜も更けた頃、俺は寒さに目を覚ました。酔いもすっかり醒めていて、体も冷えきっていた。催してしまった俺は病院から出て用を足した。
病院に戻る途中、笑い声が聴こえた。子供の声だ。同時に何かを壊す音が鳴り響く。昼間聴いたのと同じ音だ。寒いのに嫌な汗をかいた俺は急いで病室に帰った。
笑い声と破壊音は絶え間なく響き、それは俺のいる病室に近づいてくるような気がした。荷物を纏めた俺は眠気もすっかり覚めて、息を潜めながら音を耳で追っていた。やがて隣の病室でけたたましい音が鳴り始めた。
子供達の狂ったような笑い声は絶叫に変わっていた。普通の人間ならすぐに喉が潰れてしまいそうな、拷問でも受けているかのようなそのおぞましい叫び声に俺は震えた。
コンクリートの壁に何かが打ちつけられる度、振動が伝わってきた。逃げ出すタイミングを計っていた俺も余裕がなくなって、ランタンだけ持って脇目も振らず駆け出した。
病院から少し離れた所で俺は一度振り返った。病室の窓から俺の荷物らしき物が放り出されているのが見えた。一切の明かりも見えなかったが、あの病室に何かが来たのは確かだ。



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