第七夜
第六九話

題名
旅行にて

投稿者
立夏様



以前、関西地方に旅行をした時の話です。
初めての土地なので地図を手掛かりに歩いていました。
しかし、どうしても気になる方向があるので、少し足の向くまま歩き出しました。
するとすぐにひとつのお寺がありました。
地域の方が信仰されるようなお寺でしたから、入るのはためらわれました。
でも、境内の中ほどに看板があります。観光者用の説明書きです。
看板の説明を読むと、どうやら、そこは子供のころに読んだ怪談の本にでていたお話のお寺のようでした。
その話にはキーワードになっていたのが鐘です。
確かに、鐘があります。
いわくのある鐘は板で囲われています。
でも、鐘つき堂の階段は上れるようになっていて、中は覗けそうです。
でも、鐘に近づいてはいけないと、そう感じられた、、、。
でも、気のせいと思うことにして、そこに近づきました。
中は暗くてよく見えません。
「まあ、そういうものかな、、、」と思って、階段を下りかけたとき、さぁーっと、風が吹きました。
あたりの水子を祭ったお墓の風車が回っていました。
視界から、すっと、色がなくなり、空気が重く感じられたとたん、両肩にどさりとなにかが乗りました。
肩にはなにもないのに何かの重さがずしりとします。
あたりも黒い靄がかかったよう。
「しまった、、、。」そう思いながら、お寺を後にして、歩き出しました。ずっと、辺りは暗いままです。
うっすらと電車にのったことを覚えています。
次に来たのは、ある寺院の前、今回の旅では予定していなかった場所です。
ふらふらと入ると、観光客にお坊さまがお経をあげていました。
その前に座り込む他ありませんでした。
普段なら、そのような失礼なことはできない性格です。しかし、その時は気持ちが悪くて、肩が重くて。
読経の声に惹かれて。
お坊さまは少し驚いたようなようすで目を見開いていましたが、すっと目を閉じて静かにお経をあげてくださいました。
私も手を合わせ、目をとじました。
すると、肩からすーっと何かが抜けて、なにかが上に上っていく感じがしました。
読経が終わると、肩が軽く、視界も元に戻っています。気分もよくなっています。
お坊さまとは言葉を交わすことはなく、深くお辞儀をして、その場を離れました。



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