第七夜
第四十話

題名
歩く人形

投稿者
山女様



京都の祖父の寺に泊まりに行った時です。
夜、大人らは宴会をして私ら三人の子供はほったらかしで、私と5歳の弟と7歳の従兄と遊んでいて…隠れん坊をしてたんです。
祖父の寺には人形部屋があって、市松人形やフランス人形がたくさんあるんです。
そこに私隠れたんです。
此処なら見つけられないだろう。そう思いながら。…しかし、何時になっても誰も見つけてくれない。
次第に私は眠くなり寝てしまったんです…。そして、いくらか時間が経って、ガタガタと音がしたんです。足元から。
そしたら、何かが私の足の指に触れたので目が覚めたら…赤い着物を着た髪が床まである市松人形が歩いているんです。
覚束ない足取りで。そして童歌?を歌っていました。
「♪花子がいんだぁ、次郎ちゃんがいんだぁ、♪」と…
しばらくして、従兄と弟がやっと見つけ来てくれましたが、私はまだ一時間ぐらいしかあそこにいなかったそうです。
かなりの時間をあそこで過ごした様にも感じてましたが。
後から祖父に、あの部屋には入ってはいけない、あそこは人形供養の部屋だと教わりました。
そして、あの市松人形は、戦争で子供を亡くした母親がいて、彼女もまた戦後間もなく結核で亡くなり、市松人形は彼女の遺物で、どうやら娘・息子を失った悲しみの念が市松人形に籠もっているとのことでした。



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