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●近所の怪談第七夜
全国よりご投稿頂いた恐怖体験談を掲載しています。
 

     
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怪談数  御 題    御投稿者様
0678 消灯後の職場で ねこっくま 様
私は関東地方の某市役所で生活保護の仕事をしています。
仕事柄、人の最期に直面する機会も多く、訪問時に死後数日経った受給者を発見することや、身元不明の自殺者などの遺体を引き取ることなどもあり、検死後に警察から預かった遺留品などが一時的に保管してあったりなどするので、異動してきた当初は気持ちの良い感じがしない職場だと思ったものですが半年もすれば当たり前になり、気味が悪いと思うこともなく毎日忙しく仕事をしていました。
そして、仕事にも慣れはじめた二年目の夏の初め。その日は、前日にさんざん手を焼かされた問題受給者が亡くなり、火葬と納骨を済ませた日でした。夕方、私は月に一度のノー残業デーのおかげで久々に仕事を6時頃には切り上げることができ、まだ明るい街に飲みに出かけました。
楽しく飲んで、気づくと既に22時頃、そろそろ帰ろうかと外に出るとうんざりするような蒸し暑さの中、サァッーと雨が降っていました。今朝方たしかに夜から雨が降ると天気予報を聞いていて傘を持って出勤しましたが、職場を出た時点では晴れていたので傘を持たずに出てきてしまったのです。
私は電車通勤なのですが、自宅の最寄り駅から自宅まで15分ほど歩きます。飲んでいた店から職場までは約5分。一旦傘を取りに行くことにしました。
ノー残業デーとあって、16階まである庁舎は真っ暗。灯りのついた地下の警備員室から中に入れてもらい、非常灯の灯りを頼りに1階の職場へ行きました。幸い、傘立ては職場の入口近くにあるので携帯電話の光で自分の傘を探しました。たくさんの傘の中から携帯電話の弱い光を頼りに自分の傘を探すのは一苦労でした。普段はなんとも思わない職場も誰もいないし、暗いしでは不気味な感じがします。
そんな時、近くで「ふぅっ」と何者かの息遣いのような、あるいは何者かが通り過ぎたような、風を感じました。窓は締め切られており、風が吹くはずはありません。誰もいるはずはないのですが、なんとなく、誰かが見ているような気配がしました。間もなく傘をみつけ、職場を後にしようと思いつつも気配が気になり、怖いもの見たさで気配がする方を携帯電話のカメラで撮影しようとした瞬間、一斉に職場にある電話が一度だけ鳴ったのです。私は恐怖のあまりしばらく動くことも出来ませんでした。あの電話は何だったのか、その日火葬した受給者が私に最後に何か伝えたかったのでしょうか。
余談ですが、この方が亡くなっているのが発見された時、既に死後4日ほど経っているとの検死結果でしたが、隣室の方の話では発見前日まで隣の部屋から声がしたといいます。
何か未練があったように思えてなりません。
2011/06/
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