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●近所の怪談第六夜
全国よりご投稿頂いた恐怖体験談を掲載しています。
 

     
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怪談数  御 題    御投稿者様
0587 曖昧 優柔不断な人間一匹 様
昔、曖昧なまま別れた両思いなのに付き合わず大学卒業を機に音信不通になった男性がいました。彼は留年したのです・・・。
何度も何度も会いに大学に行ってみょうと思いながら結局行かず仕舞で10年経ってしまい・・・その頃には、あの頃知らなかった人と結婚し所帯を持ち、子供も生まれていました。そんなある日、送り主不明の手紙が・・「覚えているか?俺だよ・・名前を言わなくても分かるだろ?俺だよ」という内容に・・・はっきり分かりました。
傲慢な物の言い方、感情の表現の正直さ・・あの大学時代別れ別れになった彼です。そして手紙にはこうも「もう一度、会うだけ会おう・・・××月××日、あの思い出の場所で・・・」その日は彼との思いでの日です・・そして思い出の場所で・・・。
それは半年後で、随分悩みました。会うだけなら恋心なしでもいいのです。そんなもの関係ありません。けれど、何故か胸騒ぎが収まりません。・・・期待?・・・不安?・・・自分は結婚していて所帯を持って、そして子供もいるのに、再会してまたあの頃からの時間を埋め合わせするようにやり直せるんじゃないか・・・などと考える始末・・・。
そんなこんなで、やっぱり会うだけ会おうと決心し・・、問題のその日が来て、約束の場所に向かいました。
ところが、どうもおかしいのです。何度も慣れた道で迷い、何度もまるでそこに行くのを「行くな」というように妨害が起きるのです・・・そしてそこに着いたのは午後8時・・異常なまでの遅さです。
しかし・・そこにいたのは私と同じ位の女性・・遺影を持っていました。
「・・こんばんは・・・どなたですか?」
「●●○○の妻です」
彼の名前です・・・
「あの、・・この遺影は?」
「夫です」
・・・!?・・・
「あの・・彼は・・・」
「5年前、・・亡くなりました」
・・・・!!・・・・
「え・・でも・・・こないだ半年前・・彼から手紙を・・・あれはまさか・・あなたが・・・?」
「え?いいえ!?」
・・・・???・・・・
「・・今日は、彼の五周期で、彼と私の思い出の・・・・」
・・・ああ、だからか・・・・だから彼、彼女がここに来るから妨害を・・・。
「・・あのあなたは・・・」
と、彼女が・・・
「え!?・・・・いえ・・・あの、ただの通りすがりです」
なんとなく、そういう他ありませんでした。そして足速にその場を離れました。
・・・彼が私を妨害したのは、
彼女に私が会う事で、この恋が全て終わるのを止めたかったのです。彼女の存在を知ることによって、曖昧にしておいて初めて保たれる世界を、彼女を、私が知ることではっきり知ることで、消えていくからです。
2008/06/
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