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●近所の怪談第六夜
全国よりご投稿頂いた恐怖体験談を掲載しています。
 

     
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怪談数  御 題    御投稿者様
0543 男の子 おてもと 様
私の通っていた高校は市の外れにあり、生徒数もそれほど多い学校ではありませんでした。
しかし、部活動はとても盛んで、私はその中の一つ、百人一首に所属していました。
部室は校舎とは別棟の‘合宿室’なる建物でした。
昔は使われていたそうですが、今は常に施錠してあり、百人一首で使う時のみ鍵を毎日開けて使っていました。
ある日、私はいつもより早く合宿室に着くと、二階の和室にひとり、他の部員が来るのを待っていたんです。
もともと、部活動やレクレーションで使われていた部屋で、壁には布団が山積みになっていました。
その所為か、薄暗さに加えていつも埃っぽく、じめじめとしていました。
ひとりも来ないなあ…。なんて思いながら和室入り口付近の畳に座ってぼんやりとしていたところ…
ギシッ、ギシッ…と階段を登る音が聞こえたのです。
和室のドアは開け放してあり、階段を登った先がすぐこの部屋になります。
あ、やっと来た!と入り口の方に顔を向けると、男の子が立っています。
おかしい…。高校生にしては小さすぎる。鍵が開いていたから、近所の子供でも入ってきたのかな?
そう思い、話し掛けようとしたところ、私は異変に気が付きました。
男の子は半透明なのです。
色はありますが、全体的に透き通っていて向こうの壁がわずかながら見えるのです。
しかもその視線はすぐ近くの私を通り越して窓の外を見つめたまま動きません。
まるで私などには気が付いていないかのように。寂しそうに、しかも、歳を重ねた大人のような表情をしています。
その子は実態がない存在なのだとはすぐに見当が付きました。
しかし、不思議と恐怖感はなく、何故かこちらまで寂しいような悲しいような気持ちになったのを覚えています。
その後、度々同じ場所であの男の子を目撃しました。
時間帯はばらばらで部活動の最中、また帰る時、やはり同じ表情をしていました。
結局卒業し、今となっては彼の経緯や目的は全く分かりません。
ただ、あの哀愁が漂う、あの子の年齢にしては不似合いな表情を今でも忘れられません。
きっと今でも和室の横でたたずんでいるのでしょう。
2007/10/
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