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二夜目
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全国よりご投稿頂いた恐怖体験談を掲載しています。
 

     
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怪談数  御 題    御投稿者様
0142 掴む 長間 様
私が通っていた小学校では5年生になると市内の「少年自然の家」という場所で一泊二日で合宿をすることになっています。
もちろん私も泊まりましたよ。
合宿所に着いて昼食を食べオリエンテーションを兼ねたゲームを行います。
事前に結成されてた班で行動して、指示された森の中にあるポイントを探し制限時間内でもっともポイントが多い班の勝ち。ちゃんと順位付けもされます。
時間が空けば夕食まで遊具で自由時間。
夕食を済ませた後にキャンプファイヤー。みんなで焚き木を囲んでワイワイしていると、合宿所の管理人の人が来て毎年恒例の怪談を始めるのです。
その頃はまだ子供だった自分は管理人の怪談が怖くて耳を塞いだまま下を向いて聞いてませんでした。
そして怪談が終ると始まるんです、ナイトウォークと言う名の肝試しが…。
実は昼過ぎにやってたオリエンテーションの順位付けはこの肝試しに先に行く順番を決める為に行っていたものなのです。
私の班は上位から3番目にポイントが多かったので他の班より肝試しのスタートが早かったんです。
肝試しは指示された場所から道に沿って森の中に入り
「血の池」と呼ばれる池に置いてあるお札を持って合宿所に帰り受付で待っている先生に班員全員で「合言葉」を言って終了でした。
合宿前から渡されているしおりには持ち物の欄に
「懐中電灯」と書かれていたのですが、私は家庭の事情でスティックライトしか準備できなく真っ暗闇の森の中では全然回りを照らすこともできなかったのでずっと友達にしがみついていました。
脅かし役の先生達に何度か会いましたが私は前も見ずただ友達の腕にしがみ付きながら下ばかりを見ていたので誰が脅かしたのか全然わかりませんでした。
そして
「うわっ!!」
土から盛り上がってむき出しになった木の根っこに足をかけて転ぶっと友達や班の人にも迷惑をかけて…。
そんなことも気にせず下ばかりを見ていたせいか、いつの間にか「血の池」にたどり着いた事も知らず。お札を取った男子がいきなり叫んで走ったのに驚いて体がワンテンポ遅れたんです。
班のメンバーだった友達2人は足が速くて男子のスピードに追いついていましたが私は昔から走るのが遅かった為に班のメンバーとの距離は段々と広まっていきました。
「こんな森の中で一人になってたまるか!」っと距離は開けど、みんなを見失わないように前を走る友達の後姿をずっと見ていました。さっきまで恐怖で下ばかりみていた自分が嘘のように前を見ていました。
すると道が少し上り坂になってきたんです。それは合宿所前の広い平野に出られる一歩手前の証拠だったんです。
そう思った時には班のメンバー全員が森から抜け出して平野に出てました。
つまり私の視界には誰もいなかったんです。「もう少しなんだから頑張れ自分!」って思った時、また私は転んだんです。足を何かに引っ掛けて。
お札を取る前にむき出しの木の根っこに足を引っ掛けて転んだように、今もそうだろうと思ったんです。
その時にはすでに冷静だったんですよ、自分の頭が。
合宿所までそう遠くない、焦ることなんてないって。
だから未だに感じる足を掴んだ感触を早く退かしてみんなの所へ行こうって。
そう思って後ろを振り向いて足元を見たら、もうさっきまでの感触は無かったんです。
不思議に思って手元にぶら下げていたペンライトで足元全体を見渡しましたがむき出しの木の根ッこなんて一本も見当たりませんでした。
それどころか、足元を掬われるような物も無ければ地面が凸凹してわけでもありませんでした。
「あれ?おかしいな?」「なんでだろう?」って頭で思った時には転んで傷が出来た足を重そうに引きずりながら合宿所に向かって平野を歩いてました。
合宿所まで300mというところで私がいないことに気付いた班のメンバー全員が焦った様子で私の所まで駆けてきてくれました。
「ごめんね!ごめんね!」って泣きながら謝ってくれる友達や「良かった!」「悪かったなっ」って言ってくれる男子に申し訳なさがあふれ出して自分まで泣いてしまいました。
合宿所に着いて受付の先生にみんなで「合言葉」を言って合格をもらいその場で解散になった私は先生に傷の手当てをされました。
あの時の不思議な感触はなんだったんだろうっと感じで森の方をみましたが何もありませんでした。
中学や高校と歳を重ねれば重ねるほど、「あの時のアレはなんだったんだろうな」って気持ちが高まってきます。
それは18になった今でもそうです。
2010/08/
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