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二夜目
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怪談数  御 題    御投稿者様
0132 お通夜で迎えてくれたのは 堕武者様
5月半ば、不意に携帯に父からの着信音が鳴る。
入退院を繰り返していた祖母の容態が悪化し、最期の別れになるかもしれないと言うものだった。
翌日家族総出でお見舞いに行く事に。
訪れた病室の祖母は力無くベッドに横たわっている。
目を覚ますとよほど嬉しかったのだろう、手を握り、しきりに
「遠くからよく来たねぇ。ありがとうねぇ。」
と涙ながらに口にしていた。
朝から仕事だった妹も、退社後すぐに病院へ向かってくれ、到着後は更に祖母を泣かせることになる。
暫くの面会を終え、帰り際には、次に来る時は良くなって元気な姿で会おうねと約束し、
祖母の回復の兆しを感じていた。
その一週間後、急に体調を崩し祖母は他界した。
早朝、駆けつけていた親族一同に見守られる中、静かに息を引き取ったと連絡があった。
あいにく仕事の関係で朝から向かうことは叶わず、昼過ぎの早退で通夜会場へ行く事に。
天候も悪く、向かう道中、全く前が見えないくらいの雨に行く手を阻まれつつも式場に到着。
時間的には通夜の式は既に終わってしまっている状態だった。
親族一同控え室で故人を偲んでの談話場と化している。
深夜になり周りも静かになり始める頃、棺で眠る祖母の顔を拝み、トイレへと歩を進める。
誰もいない一人だけの葬儀場のトイレ。若干神妙な雰囲気を感じつつも入っていく。
一人立ち、用を足していると、隣の便器のセンサーが反応し水が流れ出した。
人が立ち、離れると自動で水が流れるタイプの水洗システム。
誤動作かなと思い、引続き用を足していると、また隣のセンサーに反応が。
この時、祖母が隣に来ているのだなと確信しました。
仕事を切上げ急ぎ向かったものの通夜式に間に合わなかった自分に
必死に語りかけようとしているのではないかと。
最期に耳にした祖母の言葉、
「遠くからよく来たねぇ。ありがとうねぇ。」
この言葉が脳裏に浮かび、また涙を誘うことになった。
手を洗い控え室に戻る時も、ゆっくり歩を進め祖母と一緒に歩いて向かう。
思い込みかもしれないが、本当に最期の散歩だ。
照れ隠しも含めて最期の声を掛ける。
「祖母ちゃん、男性トイレに入って見らるっと恥ずかしかばぃ。あとはゆっくり休んではぃよ…」
翌日の告別式は、昨夜の雨が嘘のように上がり、気持ちのいい晴天でした。
お天道様も通夜で泣き、葬式で快く迎えてくれたということだと信じています。
もうすぐ一周忌、また顔見せに行きますね。
2009/05/
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